不妊治療を止める選択について
私が不妊治療を止めた時
出産後、すぐに第2子のため再度不妊外来に通い始めた頃、一般的に何歳頃まで妊娠・出産できるのかを担当医に尋ねたことがあります。
その先生は、
「個人差はあるけれども43歳くらいまででしょう」
とおっしゃっていました。
それを聞いた時は、その歳で治療を中止しようと考えていましたが、いざその年齢に達してしまうと「まだもっとできることがあるかもしれない」と考え治療を継続し、体外受精にも挑戦していました。
46歳になって、
「この歳でこの(高FSH、低AMHの)ホルモン値だと自然妊娠でも体外受精でも確率は変わらない」
と言われ体外受精をやめてからも、あきらめつかぬまま少しずつフェードアウトするように治療を止めました。
治療の開始が遅かったとか、もっとやれたことがあったのではないかと思うこともあって、治療をやりきったという感覚はありませんでした。
その後、夫婦で話し合った結果、46歳で東京都の特別養子縁組・里親制度に登録しました。夫は「二人の子供でなくてもよい」と以前から言っていました。しかしこちらにも年齢の壁があったということにのちのち気がつくことになりました。
不妊治療を止める時
幸運な結果で治療をやめるのでない限り、”治療中止”という決断を迫られる時がやがて訪れます。
長い期間不妊治療を続けていると、その止め時がわからなくなるとよく聞きます。不妊治療を開始することよりも、それを中止することの方がはるかに難しいのです。
例えば、「どうしても親に孫の顔を見せてあげたい」という強い思い、「止めたら今までの苦労が無駄になってしまう」という怖さが中止を難しくさせていることもあるだろうと思います。
ただ、ほとんどの場合において「やり残したことはないだろうか」という考えが脳裏のどこかにあり、それが継続を選択する動機になっていることもあるかもしれません。
最終的にはご夫婦二人でよく話し合って決断をすることになると思いますが、「迷って決断ができない」「心の葛藤や不安などがありどうしてよいのか」「この先どの方向に進めばいいのかわからない」などのお気持ちを教えていただければ、今までの治療の流れを踏まえ、もしかしたら他の方のケースが参考になり、その「やり残していること」がわかるかもしれません。
治療をやめることを考えるだけでも大変なストレスです。独りで自問自答し悩むことも時には大切かとは思いますが、やはり心の中だけで結論を出すよりも、口に出していった方が気持ちも楽になり、頭の中も整理されやすくなりますから、ぜひその悩みをそのままお聞かせいただければと思います。
少しでもお役に立てたら私たちも幸せです。
サロン代表 宮城 希美子