不妊症・不育症の鍼灸治療 女性のための鍼灸サロンvvB

仕事と両立し治療5年、3院目にて出産

不妊症(不育症)治療・出産体験インタビュー

仕事と不妊治療を両立して5年、クリニック3院目にて妊娠・出産に至った事例

回答者プロフィール・治療歴

野口さん(仮名)
神奈川県川崎市 37歳 結婚10年目 ※出産時

2015年(31 - 32歳)
5月 A産婦人科初診。この年 AIH を6回行う。
2016年(32 - 33歳)
2月 子宮頸がんの前癌症状、中等度異形成があり定期検診中。男性不妊の疑いあり。鍼灸治療に興味を持つ。
3月 体外受精にステップアップ。採卵4コ→顕微授精で3コ受精。3日目胚で1コと2コのセットにして凍結。
5月 移植周期に入る。チョコレート嚢胞・子宮筋腫があるが心配なし。鍼灸サロンvvB初診。
6月 移植→陰性(薬を使用せず)
7月 移植→陰性
8月 Bクリニックに転院。PCOS(多嚢胞卵巣症候群)がみつかる。残留卵胞排泄後、検査開始の予定。
10月 卵管造影検査で右卵管が詰まっていることがわかる。
11月 採卵1コ→胚盤胞→萎縮、凍結中止。
2017年(33 - 34歳)
1月 採卵3コ→胚盤胞→3コ凍結。
3月 移植→陰性。咳喘息が出る。
4月 移植→陰性。ご主人と体外受精についてケンカする。仕事が忙しい。
6月 移植→陽性
7月 Bクリニック卒業
9月 流産
2018年(34 - 35歳)
1月 不妊治療と鍼灸治療を再スタート。
4月 移植予定だったが、ホルモン値が上がらず移植中止。
5月 移植→陰性
7月 採卵1コ→育たず
8月 採卵2コ→1コ胚盤胞として凍結。
10月 移植→着床したがHCG上がらず
2019年(35 - 36歳)
1月 残留卵胞を排卵させて再スタート。
3月 採卵3コ→3コ胚盤胞。新鮮胚移植→陰性
5月 凍結胚移植→陰性
6月 子宮頸部が高度異形成となりレーザー手術のため不妊治療は休み。ご主人から病院を移ることを提案され別の病院を考える。
10月 Cレディースクリニックに転院。
11月 採卵8コ→成熟卵6コ→胚盤胞4コを凍結。子宮内膜炎の検査→陽性→治療に入る。左卵巣にチョコレート嚢胞が認められ他病院での手術を勧められる。
12月 採卵12コ→胚盤胞5コ→グレードの低い1コは破棄し4コを凍結。
2020年(36 - 37歳)
1月 子宮内膜炎再検査→治癒しておらず再度薬で治療→薬剤アレルギー発症→治療中止。落ち着いてから3回目の子宮内膜炎の治療開始。
2月 子宮内膜症の手術を他病院で実施。
3月 子宮内膜炎が完治。子宮内膜症の手術も成功したので、シート法にて移植→陽性。この頃、コロナが大流行し始め、ご主人が家にいることが多くなる。
4月 胎嚢確認、心拍確認(6週3日)。産科の予約を入れる。
6月 産科に移る(12週)
10月 逆子確認。逆子の鍼灸治療を行う(29週)。逆子解消。胎盤位が低く再検査となる(転院も視野に入れる)(31週)
11月 MRI検査。胎盤は問題なしだが羊水が少ないとの指摘(36週)
12月 出産(39週)
2023年(39 - 40歳)
5月 凍結していた胚盤胞1コ移植→陰性。
12月 胚盤胞凍結胚6コ残っているので今後どうするかを検討中。

インタビュー本文

インタビュー日時 2024年6月(オンラインにて)
◆…聞き手

不妊治療の開始

今日はお忙しいところありがとうございます。最初に不妊治療を始めるに至った経緯と不妊治療をするA産婦人科を選んだ理由を教えていただけますか?

不妊症・不育症治療体験談インタビューイメージ
野口さん

結婚したのは27歳だったんですけどなかなか授からなくて、それで35歳頃に不妊治療をしてみようと思って、当時住んでいた所の近くで探して見つけたところがA産婦人科だったんです。

その時点で不妊治療をどこまで、何歳までやろうということはすでに考えていらっしゃいましたか?

年齢的なことは特に考えていなかったと思います。治療法についてもすごく詳しく調べてから始めたわけではなかったです。

では(その病院の治療方針)に従って進めていくという感じだったんですね。

はい。

周囲への相談

不妊治療をしていることを職場に伝えましたか?

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不妊治療をしていると伝えていた人は二人だけで、一人は私が新卒の時からずっとお世話になっている10歳上の直属の上司で、その方は不妊治療はされてなかったんですが高齢出産だったので、プライベートも含めていろいろお話しできる関係で、治療を始める時に相談させてもらい、急に仕事を午前中だけ休ませてもらうことがあるかもしれないことを伝えました。

もう一人の方は、同じように10歳ぐらい上の同僚の女性なんですけれど、私が治療を始めたぐらいの時にその方が不妊治療で妊娠されていたので、たまにお話を聞かせてもらったりとかしてました。部下には言っていなかったですけど、勘づいている人もいたかもしれなくて気まずさはありました。

治療やその時々の状況をわかってくれる人がいるというのは心強かったですか?

そうですね。直属の上司に理解があったっていうのはすごい恵まれていたことだなって思いますね。話がわからなかったらとてもつらかっただろうなと思います。

ご親族とかお友達とかにご相談はされましたか?

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母には治療を始めるぐらいの早い段階で伝えていました。「すごくいいと思うのでやった方がいいと思う」って言ってくれました。妹にも子供がいるんですけど、仲がいいので普通に話してる中で「(不妊治療クリニックに)行ってるんだ」って言ったと思います。あと不妊治療している年上のいとこがいたので、なにかの話の流れで伝えた記憶があります。

みんな好意的に応援してくれた?

そうですね、「そんなことするのやめなよ」みたいなことを言われたことはないです。

夫婦間での治療に取り組む姿勢や考え方の違い

(初診時に)男性不妊の疑いがあったとおっしゃっていましたね。

もちろん私の方にも原因がいっぱいあったんですけど、むしろ最初(治療開始当初)はどっちかというと夫の方に原因がありました。

ご夫婦の間で治療に取り組む積極性や考え方など、その姿勢に違いを感じることはありましたか?

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最初に不妊治療しようって言ったのは私だと思います。(夫は)すごく積極的だったわけじゃないですけれど、嫌だよっていうわけではなかったかな。移植がうまくいかなかったりした時に私が落ち込んだりしてあんまりメソメソしていると、「そんなに落ち込むならもう止める」みたいな感じのタイプでした。(本心)はわかるんですけどケンカになることは多々ありました。ただどちらかというと病院の転院は彼の判断で、「ずっとやっててうまくいかないんだったら、別のところ(不妊クリニック)に行った方がいいじゃん」みたいな感じでした。考え方が違うこともいい結果を生んだのかなと思います。

たしか2院目までは比較的会社から遠くて、会社の同僚に会ったりしないようなところで治療をしたいとおっしゃっていたんですけれど、ご主人にすすめられて3院目に転院した際は「会社に近いところでもいいかな」とおっしゃっていました。

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最初のA産婦人科は地図上では近かったんですけれど、電車で行ってみたら結構遠くて少し不便だと思っていました。2院目のBクリニックは、私が乗り換えをしていた駅にあって通いやすくて、不妊治療の病院では珍しく時間通りに終わるというのがすごくありがたかったです。そのあと、夫に「病院を変えてみたら」と言われて、島田さん(聞き手)にその話をしていくつかクリニックを教えていただいた時には、会社の人に知られたくないとかいうことがもう優先度が下がっていたんですね。結果的に会社にすごく近くて良かったなと思います。

治療中に感じた不安・ストレス

不妊治療中に不安とかつらさ、ストレスを感じたと思うんですが、どうやって解消していましたか?

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会社に行ったら逆に仕事するしかなくて(不妊治療以外の)他のことを強制的に考えさせてくれるので、結果的にそういう面では仕事に助けられた面も結構あるかな。心情的につらいことは人に話して解消するということはしていなかったと思います。ただ島田さんには話を聞いてもらって体も心も一番リラックスさせてもらったという感じです。

ありがとうございます。たしか初めて体外受精に進む時、ご主人にプレゼン(テーション)をしてすぐに(子供が)できるみたいなことを言っちゃって、なかなかその後うまくいかなかった頃は大変そうでした。

その当時は本当につらかったです。結果的にすごく長かったですね。

治療中の食習慣、運動

不妊治療中に漢方やサプリメントを試したり、ほかに生活習慣や食習慣を変えたということなどはありましたか?

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漢方は継続的に飲んだことはないですね。リラックスも兼ねて夜寝る前にハーブを濃縮したメリッサ(レモンバーム)のハーブコーディアルを温かくして飲んでいました。あと3院目の病院で「ビタミンDがすごく不足しています」と言われて、ビタミン D のサプリをそれまでの葉酸に加えて飲むようにしたりとか、シラスとか小魚とかを意識して摂るようにしました。コーヒーが結構好きでカフェインレスを飲んでいた時もあったんですけど、リラックスできるので(普通のコーヒーも)やめずに飲んでいました。でも1日1、2杯みたいな感じでしたね。あんまり我慢することでストレスがたまるっていうことが良くなかったりもしますし、それぞれ考え方が違いますけど、好きな方にとっては(我慢せずに)いいのではないのかなと思います。

途中からパーソナルトレーニングを始められましたね。

ちょっとやっていた時もありましたけど続かなかったです。やっぱり運動がそんなに好きじゃなくて。ただストレッチは気持ちよくて今でも毎日やっています。

妊娠

妊娠がわかった時の気持ちや妊娠中に不安に感じたことなどがあれば教えていただけますか?

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妊娠が分かった時はもちろん嬉しかったんですけれど、ただ前回(3年前に)流産していたので不安も同じくらいありました。1回目の緊急事態宣言の時が一番つわりがある時期で、本当に人っ子一人いないような道を歩いて病院に通ったりして、妊娠の喜びがある一方で、また流産しないかなという不安とコロナの不安が重なって、ハッピーなだけの期間では決してなかったかなっていう記憶があります。

周りの方にはどのくらいの週数でこの時の妊娠を報告されましたか?

流産してしまった時は、結構早めに言ってしまって、結果的に周りとちょっとつらい関係になってしまったので、家族には安定期に入る少し前くらいのタイミングで言いました。部下と同僚には安定期に入ってから、コロナで出勤するしないという問題が出てきてしまったので、先ほどの直属の上司には安定期を待たずに伝えました。

以前に流産をされた時はどのように気持ちの対処をされたのでしょうか?

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会社から「2ヶ月間休んでいい」って言われて、それで流産の手術をしてから1ヶ月間会社を休ませていただいて実家に帰りました。自分で解消するしかない話ではあるんですけれど、近くに母親がいてくれるのはすごいありがたかったし、励ましとか言わずに見守ってくれていたというのもありがたかったですね。やっぱり時間が解決してくれるしかないのかな。

妊娠中

産科はどのくらいの週数で予約されましたか?

具体的に週数は覚えていないんですけれど、どうしても無痛分娩で産みたいっていうのがあって、そうすると予約は早くしておかないといけないと聞いていたので早めに予約しました。産院にも「ずいぶん早いですね」と言われました。

妊娠中に新型出生前診断(NIPT)羊水検査はされましたか?

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羊水検査はしてないです。NIPTはすごく悩んだんですけど年齢的なこともあって受けました。結果を見た時にどう判断するかとかはなんかちょっと自分の中でも悩んでいたんですけれど、夫が「受けた方がいいんじゃない?」と言ったので受けました。

妊娠中にヘアカラー剤の使用や嗜好品の摂取や食事などで気をつけていたことはありますか?

妊娠中にコーヒーを飲みたくなくなった時期が長くあったので、飲むとしてもノンカフェインのお茶だったりハーブティーに切り替えていました。髪の毛は頻繁に染めていたんですけど、(妊娠してからは)頻度をすごく下げました。食事をガラッと変えたりはしなかったです。。

妊娠中、食事の準備はどうされていましたか?

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つわりが一番ひどい頃は夫もコロナの緊急事態宣言で結構家にいて料理してくれていましたし、ちょうどそのタイミングでいろんなお店がデリバリーとか持ち帰りを頑張ってくれている時期だったので、それを活用させてもらって作らないで済んだことはすごくありがたかったです(笑)

緊急事態宣言下ですね。その頃、会社の方は行っていましたか?

基本的に在宅(勤務)という指示と、あと休業日を週2 日設けられたんです。なので、すごく本当に申し訳ないですけど結構ありがたくて。満員電車に乗って会社に行かなくてよかったり、ひどい時は起きて気持ち悪いからベッドでパソコン開いて見られたりとか、今までの日本の社会だったらできなかったことができたので、その点はすごくありがたかったなって思います。

不妊治療クリニック・病院などの選び方

あとから振り返ってみて、病院、クリニックを選ぶ際のポイントというのはありますか?

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今からもう一度やり直すのであれば、はじめからもっと会社に近いところで仕事と両立しやすいところに行けばよかったという点と、あとはそうですね、私は3つクリニックを経験することになったんですけれども、性格的にわりと「今いる所(クリニック)でいいんじゃないか?」って思いがちだったんですけど、やっぱり結果が出ないと仕方がないものなので、1、2年やってみて結果が出なかったらクリニックを他に変えてみるのもいいのかなと思いました。3つ(のクリニック)とも全然治療方法が違いましたし。もちろん信頼する先生のところにずっとお世話になるというのも一つかと思います。2つめのクリニックはとにかく時間内にちゃんと終わるっていうところが仕事と両立するために私としてはありがたいポイントでした。

不妊治療を行う鍼灸治療院に求めるものがあればお聞かせいただけますか?

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こんなに全部話せた人ってたぶん島田さん(聞き手)しかいなかったかなという気がしています。治療をしてても病院ごとにやり方が違うので、同じ(不妊)治療をしている人でも共有できる話ばかりではないと思います。すごく知識とか経験豊富な人に話を聞いてもらえて、それに何でも隠さずに話してもよくて、恥ずかしいとか気持ちを持たずに、全部聞いていただくことができたっていうのもすごくありがたかったです。仕事との両立とか、あとは夫への不満とか(笑)。

あと鍼灸の直接的な効果っていうのはもちろんあると思うんですけれど、それにリラックス効果もすごくありました。不妊治療には関係なく単純に仕事で疲れて(肩を指しながら)このあたりのバキバキとかを「今週土曜日にとってもらえる!」みたいに。治療だから「行かなきゃ」じゃなくて本当に行きたくて行っていたっていう感じですごくありがたい場所だったなっていうふうに思っています。クリニックってゆっくり話をできる場所では全然ないので、クリニック以外にそういう話を聴いてもらえる場所があると不妊治療も乗り越えられるんじゃないかなと思いました。

残っている受精卵

3つめのクリニックでたくさん受精卵が採れて凍結して、最初の卵で妊娠されたので受精卵がまだ残っていると思いますが、今後どのようにされるご予定ですか?

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まだ数があるので1回はトライしたんですがダメで、ちょうどその頃は仕事がすごく忙しかったりして、いろいろと考えるところがあってとりあえずやめてしまったんです。ただ保険治療ができるようになったというなか、私も今年でそろそろ41歳になるので、あとこの数ヶ月以内にどうするのか決めなければいけないなと思っています。やりたいなって気持ちはあるんですけれど。やっぱり仕事をしながらってすごい大変なので・・・。体も心もいろいろ疲れるところにもう一回突入していくのはちょっと勇気が必要で、ここ数ヶ月悩んでいて・・・。でも本当に近々自分で決めなきゃなと思っているところです。

最後の質問なのですが、今、不妊治療をされている方とか、今後その不妊治療を開始しようと思っている方々に何かアドバイスをいただけますか?

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不妊治療というものがなかったら私は絶対子どもを授かることはなかったと思うので、迷っているならやった方がいいんではないかなって思います。ただつらいことが多いのは確かです。話を聴いてくれる人がいるとか、そういう場があるっていうこととか、仕事の時間は仕事のことを考えるとか、やっぱり不妊治療だけが生活の全てになってしまうと心がもたないかなという気がするので、不妊治療以外の生活もきちんとあることがきっと治療を続ける上で必要なことかなというふうに思います。

本日は長いお時間ありがとうございました。

聞き手の感想

野口さんは、子宮頸管中等度異形成をはじめ、チョコレート嚢胞、子宮筋腫、多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜炎など、さまざまな疾患を抱えながらも、あきらめずに5年間治療に取り組んでこられました。インタビューでお話しいただいた流産については、当時を振り返りながら涙を流され、お子さんを授かった今もなお、その深い悲しみがいまだ癒えないご様子でした。

そのような中、治療について話してくださったことは、不妊治療に取り組む方々にとって勇気と希望を与えるものと感じております。このたびのお話を伺う機会をいただき、心より感謝いたします。

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