不妊症
西洋医学的な原因
不妊症の原因は女性・男性両方にあります。女性側の原因には次のようなものが挙げられます。
- 卵胞が卵巣内で順調に育たない
- 排卵が順調に起こらない
- 排卵後に残った卵胞の細胞から正常な黄体が形成されない
- 卵子が卵管采に取り込まれない(ピックアップ障害)
- 体質的に卵子が受精しにくい
- 胚が順調に分割しない
- 胚が子宮腔に運ばれない
- 胚が子宮内膜に着床しない
自然妊娠の妨げとなるもの
排卵の問題
正常の生理周期は25~38日で、生理期間は3~7日です。生理周期のリズムは排卵状態を知る目安になります。しかし生理周期が規則的な人でも排卵障害が見られる場合があります。毎日の基礎体温をグラフにすると低温期と高温期の層に分かれますが、この二層に分かれていないと排卵が無い可能性が考えられます。
卵管の問題
卵管は排卵した卵子をピックアップして卵管内に取り込んだり、卵管内で受精した卵子を子宮に送り込んだりします。卵管が細く狭まっていたり、子宮内膜症や炎症で卵管が癒着していたりすると、卵子の取り込みや精子の侵入が阻害されてしまいます。
子宮頚管の問題
おりものは生理周期によって変化し排卵期には増加しますが、子宮頚管や膣の状態によっても変化します。子宮頚管の粘液は排卵期になると精子が通過しやすい状態になりますが、クラミジアに感染していたりすると粘液に異常が起こることがあります。こうした炎症によって分泌物の変化がし精子の動きが悪くなってしまうことがあります。
肥満
肥満が直接の原因かどうか明らかにはされていませんが、卵巣機能に異常をきたすことがあるといわれています。一般的に肥満女性には、卵巣の皮が硬くなり排卵が困難になってしまう多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が多いことが知られています。しかし多嚢胞性卵巣症候群と診断されない肥満女性にも排卵障害の確率が高いことが報告されています。これは肥満が「アンドロゲン」の過剰産出を促進し、排卵率を下げてしまうことが原因と考えられます。また多嚢胞性卵巣症候群の治療後に妊娠した肥満女性が、流産率がやや高くなることが知られています。
その他の問題
女性の体内に精子に結合して精子の運動を障害する抗体の存在や、原因がまだ解明されていないものなどにより妊娠を妨げられてしまうことがあります。
原因不明の不妊症
不妊症のうち約3~4割はどんな検査をしても原因がつかめません。これを原因不明(機能性)不妊といいます。原因不明不妊は医師によって考えがまちまちで、はっきりとした基準はありませんが、およそ次のような場合に原因不明不妊であると診断されることが多いようです。
- 既往歴、内診検査に異常がない
- 性交回数が適切
- 毎月月経があり、基礎体温が二相性で高温期が12日以上ある
- 精液検査が正常
- 子宮頚管粘液の分泌が良好で、性交後に行うフーナーテストも正常
- 内分泌ホルモンの基礎値が正常
- 子宮卵管造影法による検査が正常
このほか、医師によっては以下のような場合も含めています。
- 子宮鏡検査が正常
- 超音波断層法で、子宮や卵巣に異常がなく排卵が確認できる
- 腹腔鏡検査が正常