浮腫(むくみ)
浮腫(むくみ)とは
浮腫は女性なら一度は経験のある身近な悩みの一つとしてあげられます。夕方になると足がパンパンになって靴がきつくなったり、お酒を飲み過ぎた次の日は顔が腫れぼったい、そんな経験はよくあるのではないでしょうか?
最近、身体がポッチャリしたという方、太ったわけではなくそれは浮腫かも知れません。女性にとって大敵である浮腫は生活習慣の見直しで改善可能な症状です。
浮腫とはさまざまな原因によって皮下組織に細胞外液が貯まった状態です。全身でも部分的にも起こる場合があります。浮腫かどうか確かめるには、脛骨粗面(すねの内側の骨に触れるところ)を指で押して離してみます。凹んだ跡が残ったらそれは浮腫です。
また浮腫には心臓や腎臓等の病気のサインも隠れていることがあるので、いつものことで済ましてしまうのではなく、浮腫の特徴や原因を知っておくことも重要になります。浮腫が長期間にわたり取れない場合は、医師の診断を受けることをおすすめします。
女性に多い浮腫
浮腫が起こる男女比はおよそ1:4と、圧倒的に女性の方がむくみやすいとされています。 女性は、男性に比べ筋肉量が少なく、静脈やリンパの流れも弱いのが原因の一つとしてあげられます。 また、ホルモンは体内の水分量を調整するのに関係があり女性は生理や妊娠といったホルモンバランスの変化を生じやすい為、男性よりもむくみがでやすいのです。
西洋医学の浮腫の原因と治療
浮腫の起こる原因は様々ですが、浮腫と関連が深いのは、体液の循環や体液量の調節に関与する臓器や内分泌系(ホルモン)です。 多くの場合、心臓疾患、肝疾患、腎臓疾患、内分泌機能障害などの内臓機能の低下が原因となります。 その他にビタミンB1やたんぱく質の欠乏、貧血、血行障害、妊娠中毒症なども浮腫の原因と考えられます。 また、はっきりとした原因がないのに浮腫が出ることがあり、「突発性浮腫」と呼ばれています。
浮腫のよくできる部位
浮腫には起こりやすい部位(好発部位)があり、浮腫が起こる部位別に、疑われる病気や原因が判別されます。
- 顔
- 月経前やステロイド剤などの影響
- まぶた
- ネフローゼ症候群の初期、急性糸球体腎炎の疑い
- お腹
- 肝硬変、慢性腹膜炎、慢性収縮性心膜炎の疑い
- 足
- うっ血性心不全、脚気、下肢静脈癌、深部静脈血栓の疑い、妊娠(夕方から就寝前にかけてひどくなり、朝になるとほとんどなくなっていることが多い)
- 背中
- うっ血性心不全、急性心膜炎の疑い
浮腫の治療
治療はまず原因疾患の治療(心性浮腫は心不全の治療、腎性浮腫では人工透析など)を行ないます。 それと同時に体内の余分な水分は利尿剤で排尿を促します。 浮腫に対する直接的な治療というものは利尿剤になりますが、原因疾患を治療することでむくみの解消が期待されます。
東洋医学の浮腫(むくみ)
浮腫は「津液の停滞」と考えます。 脾胃で食べ物(水穀)から津液は分離され、脾の運化作用によって肺に送られ、肺は送られてきた津液を全身に散布します。腎が全身に送られた津液を管理し、不用なものを膀胱に貯めて、最終的に尿として排泄されます。 この流れのいずれかの部位に支障が起こると浮腫が現れると考えられています。
浮腫は、主に脾、肺、腎、膀胱、三焦の働きがうまくいかなくなることによって起こると考えられています。日本人の場合は脾の働きに何らかの支障が出て浮腫になるケースが多く、その原因は、日本は四方を海に囲まれているため湿度が高く、湿度に弱い脾が影響を受けやすいからだと考えられています。
よく使用される漢方薬
余分な水分だけを外に出して、良い状態の水分バランスに調整する働きを持つ、主に「利水剤」と呼ばれる漢方薬が使用されます。
- 五苓散(ごれいさん)
- 八味地黄丸(はちみぢおうがん)
- 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
- 当帰芍薬散
- 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
- 菌陳五苓散(いんちんごれいさん)
- 木防已湯(もくぼういとう)
鍼灸治療の方針
脾、肺、腎、膀胱、三焦の働きを整えつつ全身の血行促進と気の調整をはかり全身の鍼灸治療を行っていきます。
症状や体質によって多少変わりますが、主に背面の経穴、足に鍼灸治療を行っていきます。
日常生活で気をつけたい5つの点
- 同じ姿勢でいることを極力少なくする
足は特に浮腫が出やすいところ、立ちっぱなしや座りっぱなしなど同じ姿勢でいることをなるべく避けて、オフィスやご自宅でまめに屈伸運動など足の血行促進を意識してください。 - しっかりと睡眠をとる
頑張りすぎずに睡眠時間は十分に確保してください。就寝時には足を冷やさず特に足の浮腫が気になる方は足を高くして寝るのがよいでしょう。 - 体を冷やさない
冷えは浮腫の大敵です、環境に合わせた衣類で体の温度調節をしましょう。 - 過剰な塩分摂取を避ける
外食や調味料の使い過ぎは塩分過多になりやすいので、なるべく自炊をして調味料の代わりに薬味を上手に活用してください。 - 過剰な水分摂取を避ける
冷たい飲み物はつい必要以上に摂取しがち、あたたかい飲み物をゆっくりと摂取するように心がけてください。
浮腫でお悩みの方へ
お顔がポッチャリ見えたり足が太く見えてしまったりと、女性にとって大敵の浮腫。 浮腫は鍼灸治療で気・血・水のバランスを調整することにより、症状の軽減が期待できます。
鍼灸治療はもちろんのこと、美容鍼灸のコースで、身体のバランスを整えつつマッサージをすることによりお顔もスッキリできます。
浮腫は日々の生活習慣が大きく関係しますので、鍼灸治療だけでなく、生活習慣の見直しもご一緒にしていき、むくみづらい体質づくりのお手伝いをしてまいります。