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月経不順

月経不順とは

近年、女性の社会進出とともにライフスタイルも変化し、月経が環境やストレスなどの影響を受けて乱れ、月経不順となる人が増えています。月経不順は日々の生活環境やストレスなどによるものもありますが、器質的な異常のある(臓器に異常がみられる)婦人科疾患の一つの症状の場合もあります。

月経不順とは、通常の28日前後のサイクルで繰り返される月経が、何らかの原因で周期や経血量に変化が現れることを指します。

日本の女性の多くは生理不順や生理痛で悩んでいます。統計によれば、日本の女性の45.5%は「生理不順の悩み」を持っており、「生理痛がほとんどない」という女性は21%という結果が出ています。つまり、半数の女性は生理に関する悩みを抱えていることになります。また月経不順は日々の生活環境やストレスが関係しているものが多く、女性の社会進出に伴ない増加の傾向にあるといわれています。

一時的な異常の場合もありますが、子宮内膜症子宮筋腫、子宮ガン、多嚢胞性卵巣症候群など、婦人科疾患の症状であることも考えられるので注意が必要です。

治療の経過や予後はかなり個人差が大きく、治療に要する期間も異なりますが、原因に違いがあっても早期発見の場合の方が経過は良好のようです。

月経不順の症状と分類

月経サイクルの異常

月経周期とは月経の開始日を1日目とし、次の月経が始まる前日までの日数をいいますが、この日数が25~38日以内であれば、正常な月経周期とされています。

稀発月経
月経のサイクルが39日以上間があいてしまうものをいいます。妊娠・出産は可能です。
頻発月経
月経周期が24日以下の短いサイクルになるものです。無排卵周期(排卵がないままに月経だけが起こっている状態のこと)になっていることが多くあります。
無月経
初潮は経験しているのにその後月経がなくなり、主に周期が3ヶ月以上のものをいいます。

月経期間の異常

月経期間は3~6日間が正常な範囲といわれています。

過長月経
月経期間が8日以上続く状態のことで、視床下部、脳下垂体、卵巣などの女性ホルモンの分泌に関係する器官になんらかのトラブルがあり、無排卵月経になっている可能性が高く、黄体機能不全になっている可能性が高いものをいいます。早めの受診をおすすめします。
過短月経
月経が2日以内で終わってしまうもので、無排卵月経になっている可能性が高く、早めの受診が重要になります。

経血量の異常

正常な月経血量は1回の月経で150cc以下で、牛乳ビン1本に満たない程度と言われています。

過多月経
出血量(経血量)が増えたり、経血にレバー状の塊が混じる、月経痛がひどいなどの症状がみられる状態をいいます。月経日数が正常範囲でも、血液の塊がでてきたり、1時間おきにナプキンを替えなくてはならないほど量が多かったり、就寝中に月経血がナプキンから染み出してきてしまうような場合もあります。過多月経の状態が長く続くと貧血になるので注意が必要です。
過少月経
経血量が極端に少なく、ナプキンに少し付く程度で終わってしまうもので、無排卵月経になっている可能性が高く、早めの受診が重要になります。

プレ更年期

卵巣の老化は35歳くらいから始まるといわれています。更年期の前の段階(30代後半~40代)ですでに月経周期の乱れや経血量の減少が見られる人は閉経に向けての変化が始まっている可能性があります。(参考: 更年期障害)

月経不順の原因

月経には脳の視床下部、脳下垂体、卵巣の3つの臓器が関係しているので、そのどれか一つにトラブルが発生すると月経にも何らかの影響が出てしまいます。月経の周期や期間が定まらないのは、女性ホルモン(主に卵胞ホルモンと黄体ホルモン)のバランスの乱れ、つまり内分泌機能の異常(無排卵周期症、黄体機能不全など)によるものですが、稀発月経の一部は慢性全身性疾患(肝機能異常、糖代謝異常、膠原病など)によって起こっている場合もあります。

月経不順全体で考えられる原因

子宮筋腫の症状でもっとも多いのが月経の変化で、特に量が増える症状が多く貧血を起こしやすくなります。月経量増加の考えられる理由は次のとおりです。

  • 内分泌機能の異常
  • 過度のストレス
  • 短期間の極端なダイエット
    身体が栄養失調状態になり、摂取したエネルギーを生命維持に重点的に使うようになるため月経の周期の乱れや無月経となるため
  • 肥満
    脂肪細胞は女性ホルモンの働きを悪くしたり、ホルモンを生産する脳下垂体や卵巣の働きを弱めたりするため
  • 婦人科系疾患
    子宮内膜症子宮筋腫、子宮がん、多嚢胞性卵巣症候群 など

持続日数や出血量の異常の原因

  • 内分泌機能の異常
  • 器質性の異常
    過短月経・過少月経では子宮腔癒着(Asherman症候群)、子宮内膜炎、子宮発育不全、過長月経・過多月経では子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、子宮内膜増殖症、子宮内膜癌、IUD(子宮内避妊具)挿入など

月経不順の治療

現病歴の確認、婦人科的診察、排卵の有無の確認、血液検査などをして診断をします。

主に経過観察が基本ですが、赤ちゃんが欲しい場合や貧血がある場合などには、必要に応じて黄体ホルモンや排卵誘発剤の投与、また貧血の治療を行います。

また子宮内膜炎や子宮発育不全の場合は抗生物質やホルモンの投与を行い、何か器質的に問題が見つかった場合は、その原因疾患の治療を行います。

東洋医学の月経不順

肝欝(かんうつ)による月経不順

抑うつや激怒により肝の疏泄が失調すると発症します。一般的に、肝の疏泄が過度になると月経は早くなり、疏泄が及ばないと月経が遅くなると言われています。なので、肝の疏泄が一定せず過度になったり及ばなかったりすると月経周期が不安定になります。

主な症状は経血量が安定しない、乳房の脹痛、胸脇部の脹痛、抑うつ感、ため息などがあります。

腎虚による月経不順

先天の腎気不足や房事過多(過度の性生活)による腎気の消耗により、腎の精血を蓄える作用が失調して衝脈、任脈に及んで発症します。 

主な症状として経血量が少ない、耳鳴り、頭のふらつき、腰のだるさなどがあります。

よく使用される漢方薬

鍼灸治療の方針

月経不順の鍼灸治療は、原因によって多少の違いはありますが、主に脾、腎、肝のバランスを整えることを目的に施術してまいります。

根本的な治療となるため、効果が出るまで時間がかかりますが、2週間に1回くらいのペースであせらずにじっくりと治療していきましょう。また、鍼灸治療だけでなく、月に1回は必ず産婦人科の診察を受けていただくことをおすすめいたします。

症状や体質によって多少変わりますが、主に背面、脚のツボに鍼灸治療を行っていきます。

月経不順の養生法

病院などで薬を処方してもらうと症状は軽減しますが、それとともに日常生活で下記のことに気をつけて生活して、症状の軽減と根本的な改善をはかりましょう。

  • 基礎体温をつけて排卵や高温期の日数などを把握しておきましょう。
  • 身体、特に腹部を冷やさないようにしましょう。
  • 身体にフィットするような服装は血流を悪くし、月経痛を強める原因となるので、月経中はゆったりとした服装で過ごしましょう。
  • 寝不足や食生活の乱れも原因となるので、なるべく決まった時間にバランスの良い食事を摂り、たっぷりと睡眠をとって、身体を休めるようにしてください。
  • 適度な運動をして体を動かし身体全体の血流をよくしてください。ストレッチやヨガなどがおすすめです。

月経不順でお悩みの方へ

月経の状態を人と比較する機会はあまりありませんが、毎月起こる月経は自分の身体の状態を教えてくれる数少ない貴重な機会です。子宮や卵巣に関する病気の早期発見のためにも、普段から自分の月経の特徴をつかんでおきましょう。

西洋医学の治療にはホルモン剤を使用することが多いのですが、自分の身体の調子を整えることも症状の改善への近道となります。私たちは、みなさまのお身体の調子を整えることで、一日でも早く症状が改善するためのお手伝いをさせていただきたいと思っています。

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