月経困難症
月経困難症とは
月経困難症とは、月経直前または月経開始とともに主に、腹部・下腹部の痛み、腹部膨満感や嘔吐、頭痛などの症状が出現し、日常生活に支障をきたす疾患をいいます。
月経時に女性60~80%の方が月経痛などの症状を訴え、その中でも就労が困難なものは30%程と言われています。症状は月経前から出現し、月経終了前あるいは終了とともに症状が消失していくのが特徴です。
月経困難症は、原因となる疾患が認められない機能性月経困難症と、原因疾患の認められる器質性月経困難症があり、機能性月経困難症が大半を占めています。
月経困難症の主な症状
- 下腹部・腰部・頭部の疼痛
- 腹部膨満感
- 悪心
- 嘔吐
- 食欲不振
- イライラ
- 憂鬱
- 下痢や便秘、脱力感など
月経困難症の種類と原因
機能性月経困難症(原発性)
若年者の多く見られる、原因となる骨盤内の病変が認められないものをいいます。
10代後半から20代前半に好発し、排卵性月経に伴って起こることが多いので、無排卵性月経の場合はほとんど起こりません。月経の1~2日目に症状が強くでることが多いですが大抵の場合1日で軽減します。 加齢による症状の憎悪は少なく、衰退していくことがほとんどです。
主な原因に、子宮の発育不全やホルモンバランスの崩れ、精神的ストレスなどがあります。
器質性月経困難症(続発性)
中高年に多く見られる、原因となる骨盤内の病変(子宮内膜症、子宮筋腫など)が認められるものをいいます。
30歳以降に好発することが多く、骨盤内に器質的な原因疾患があるため無排卵月経でも痛みなどの症状がでます。 症状は1~5日と長いことが多く、加齢により憎悪する場合も少なくありません。
月経困難症の治療
機能性月経困難症(原発性)の治療
薬物療法では主に以下の治療薬を用います。
- 低用量ピル
- 排卵抑制作用などにより、痛みの改善をはかります。
- ブチルスコポラミン
- 平滑筋を弛緩させることにより、痛みを抑制します。
- NSAIDs(プロスタグランジン合成阻害薬)
- プロスタグランジンによる子宮筋の過剰な収縮を抑え、痛みを緩和します。
器質性月経困難症(続発性)の治療
原因の疾患の治療を行います。症状は原因疾患の改善と共に改善していきます。また、月経痛に関しては、機能性月経困難症の治療を行いながら原因疾患の治療を行う場合もあります。
ただし、原因の中には、微熱やおりものに変化が現れる淋病やクラミジアなどの骨盤内感染症も含まれていますので、症状からそれらが疑われる場合、ご自身で判断せずに病院で一度診ていただくことをおすすめいたします。
東洋医学の月経困難症
東洋医学では「気」・「血」・「水」の過不足や停滞してしまうことで、月経困難症などの身体の不調が現れると考えられています。
月経困難症を引き起こす身体の状態で多くみられるのは、気血が停滞してしまう「気滞血瘀」・気血が不足して起こる「気血両虚」・冷えにより水が停滞して起こる「寒湿凝滞」などがあります。
気滞血瘀による月経困難症
ストレスが原因となることが多く、主に次のような症状が現れます。
- 腹部、胸部の脹痛
- イライラ
- 月経血にレバー状の塊が混じる
- 腹部を圧迫すると痛みが増す
気血両虚による月経困難症
食生活の乱れや虚弱体質、疲労などが原因となります。主に次のような症状が現れます。
- 顔色が悪い
- 腹部、腰部の冷えや痛み
- 軟便または便秘
- 不眠
- 頭痛
寒湿凝滞による月経困難症
冷たい飲食物や運動不足などが原因となります。主に次のような症状が現れます。
- 月経量が少ない
- むくむ
- 腰下肢の冷え
- 吐き気
- お腹の張り
よく使用される漢方薬
月経困難症の鍼灸治療の方針
月経困難症の治療では、まず全身の気血の調整を目的として行い、それと共に各臓のバランスを整えることも合わせて施術していきます。症状やその人の体質などによって多少の違いはありますが、治療に使う主なツボは背面、脚、腹部です。
体質改善を行うことで症状が出にくくなりますので2週間から1ヶ月に1度くらいのペースでお越しいただけるのが理想です。また、症状の強さや出る周期にもより異なりますが、症状のより強い方は生理の10日程前から集中的に施術を行うことで痛みなどの症状の改善が期待できます。
ご家庭でできる月経困難症対策
食生活の改善
貧血をおこしやすい方は鉄分の多い下記の食品を取り入れるようになさってください。
- 春菊
- 小松菜
- かぶ葉
- 大根
- ほうれん草
- レバー
- 牡蠣
- ひじき
- アサリやハマグリの佃煮 など
運動
過度の運動を行うと、症状が悪化する場合もありますので、ウォーキングやストレッチなど軽めの運動がおすすめです。
月経困難症でお悩みの方へ
月経困難症は、普段の生活にも支障がでてしまうため、生理になるたびに辛く嫌な思いをしてしまって、身体も心も疲れてしまいます。生理がきても気にしない生活を送ることができるよう、皆様のお悩みを真摯に受け止めて治療してまいります。どうぞお気軽にご相談ください。