顔面神経麻痺の鍼灸治療 女性のための鍼灸サロンvvB

顔面神経麻痺の予後と後遺症

早期の治療がカギ

なるべく早くに治療を!
なるべく早く医療機関へ

顔面神経麻痺は発症して徐々に症状が悪化し、一般的には一週間程度の時間が経って最もひどくなります。その後、何も治療を行わなくても、ベル麻痺の場合は7割くらい、ハント症候群の場合は3割くらいが自然に症状が改善していくとされていますが、元の状態に完全に戻るかどうか、戻らない場合でもどのくらいまで回復できるかどうかというのは、第一に早期に治療を開始するかどうかがカギとなります。

残念ながら後遺症が残る場合があります。顔のこわばり、聴覚の異常、顔面痙攣(けいれん)などのほかにワーラー変性による病的共同運動ワニの涙症候群といった症状が残ることがあります。

次にこれらの後遺症について説明していきます。

ワーラー変性とは

ワーラー変性
ワーラー変性
※回復する過程で神経が混線してしまうことも

顔面神経が損傷を受けると障害部位より末梢側の神経に栄養が行き届かなくなるため、約3日以内にそれらの部位に神経の消失や性質の変化が起こってきます。これをワーラー変性と言います。末梢神経では神経再生が活発なので、ワーラー変性が起こっても正常に回復することもできますが、神経が回復する過程で神経の混線が起こると病的共同運動などの後遺症が出てしまう場合があります。

重度な顔面神経麻痺ではワーラー変性が進行して回復が困難となる場合もあるので、発症後の速やかな治療が必要となります。損傷が軽ければワーラー変性まで至らずに一時的な神経伝達の障害のみですむ場合があり、この場合には後遺症が起こらないことが多くなると言われています。

病的共同運動とは

病的共同運動とは、例えば目をつぶると口が一緒に動いたり、口を動かすと目が一緒に閉じてしまったりするような筋肉の運動です。顔面神経が障害された後に神経再生の過程でつながるべきでない神経がつながり混線してしまったため起こります。こうなると元に戻ることは大変困難です。

ワニの涙症候群とは

ワニの涙症候群とは顔面神経麻痺の回復期に起こる、食事をすると勝手に涙が出てしまう症状です。これは神経再生の時に唾液腺への神経が間違って涙腺に連絡したためと考えられています。ワニが獲物を食べる際、目から涙のような水(?)が落ちることがあるためこのような名前が付いたようです。

後遺症を残さないためには

では後遺症をなるべく残さないためにどうすればよいのでしょうか?

ストレスを感じない生活

後遺症をなるべく残さないための大切なポイントは、後遺症が少ない方に共通していえることで、今まで何度もすでに書きましたとおり、発症後にすぐに診断を受けて適切な治療を早期に開始するということ、そしてさらには初期段階に集中的に治療を行うということです。

ストレスを感じない生活を送り(神経再生のための)回復力を高めておくことも後遺症予防のためにもとても大切です。ストレス解消は最も効果のあるどの病気にも効く万能薬のようなものです。

適切なリハビリも重要

もう一つのポイントは適切な表情筋のリハビリです。特に眼と口の動きが一緒にならないように、丁寧に筋肉を使い分けて運動を繰り返したり、マッサージを自身で行うことです。しかし無理やり筋肉を大きく動かしたり、マッサージを強く行うと神経の混線を生む原因にもなるので、非常に慎重に行う必要があります。

次のページでは医療機関で受けられる顔面神経麻痺の治療について説明をします。

>>