不妊症・不育症の鍼灸治療 女性のための鍼灸サロンvvB

不育症

抗リン脂質抗体症候群

免疫が関与する反復流産のもう一つのタイプは、自己免疫性の抗リン脂質抗体による流産です。

抗リン脂質抗体症候群と呼ばれるこのタイプの流産は、全身性エリテマトーデス(SLE)の患者が流産を繰り返しやすいことから発見されました。自己免疫異常を有する患者の多くの体内には、カルジオリンピンなどの抗リン脂質抗体が存在し、この抗体が流産を引き起こします。抗リン脂質抗体は体内で血栓症を引き起こすとされ、胎盤内に血栓ができることにより、胎盤機能が傷害され流産にいたると考えられています。

抗リン脂質抗体症候群の治療

治療には抗凝固薬であるヘパリンや低用量アスピリンが用いられます。この治療法の有効性は高く、多くの反復流産患者で生児を得られたと報告されています。しかし抗リン脂質抗体症候群の患者は、胎盤ができる以前の妊娠初期の流産も繰り返すことが多いとわかってきたため、最近では流産が起こる機序として、血栓より受精卵の着床障害が考えられるようになっており、抗凝固薬がなぜ有効なのか、理由がはっきりしなくなってきています。

また日本では欧米と異なり、抗カルジオリンピン抗体またはループス抗凝固因子を保有していなくても、抗フォスファチジルエタノラミン抗体や抗フォスファチジルセリン抗体といった別の抗リン脂質抗体を保有すれば抗リン脂質抗体症候群と診断され治療されます。

作用機序が不明確、しかし有効

このため抗リン脂質抗体症候群と診断される患者が多く、それに対する治療は、日本の反復流産に対する治療の中で、もっとも多く実施されているものです。現在、抗リン脂質抗体症候群に対する抗凝固療法の有効性を疑う人は少ないのですが、一方でその作用機序が必ずしも明らかではないことから、抗凝固療法に対する評価も今後変わっていくかもしれません。

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