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自律神経失調症

自律神経失調症とは

自律神経失調症はどなたにでも起きる可能性がある病気ですが、その反面、体の中に異常が見つからないため、診断の難しい病気の一つです。また症状が多岐にわたるため、継続する症状が他の疾患によるものかどうか判別が難しく、そのままにはしていられない病気です。

自律神経失調症は、自律神経(交感神経と副交感神経)の働きのバランスが崩ることにより起こる病気です。心身医学会では自律神経失調症は、「種々の自律神経系の不定愁訴を有し、しかも臨床検査では器質的病変を見いだし得ず、顕著な精神障害のないもの」と暫定的に定義しています。つまり「明らかな精神的障害も体の中の異常も見当たらないけど、いろいろと体の調子が悪い状態」ということになります。自律神経失調症は正式な病名ではなく、様々な不定愁訴の総称を指します。

女性に多い自律神経失調症

自律神経失調症は男性よりも女性に多く発症しますが、これは女性は一生を通じてホルモンのリズムが変化しつづけ、この変化が自律神経の働きに影響を与えるためだと考えられます。特に思春期や更年期には女性ホルモンの変化が起きやすく、自律神経機能のバランスを崩しやすくなります。ストレスが原因の場合が多く、そこに身体的・体質的要因や性格傾向が加わり発症します。

自律神経失調症の症状

自律神経失調症は、自律神経機能のバランスが崩れることで起こり、頭痛やめまい、イライラや不安感などのさまざまな不快な症状を身体に引き起こします。 自律神経系は全身に分布しているため自覚症状の現れ方が非常に不安定でさまざまです。

主な身体的症状

  • 肩こり
  • 冷え
  • 筋肉の痛み・関節のだるさ
  • 血圧の変動
  • 便秘・下痢
  • 吐き気
  • 頭痛
  • 生理不順
  • 頻尿・残尿感
  • 立ちくらみ
  • 動悸
  • 微熱
  • ほてり
  • 冷や汗
  • 不眠・早朝覚醒
  • 耳鳴り
  • めまい

主な精神的症状

  • イライラ
  • 抑うつ気分
  • 不安感
  • 情緒不安定
  • 記憶力の低下
  • 集中力の低下
  • 意欲減退

自律神経失調症の原因

自律神経失調症は症状が多岐にわたるように原因もさまざまです。不規則な生活などあらゆる外的刺激により感じるストレスは自律神経機能のバランスを崩す原因となります。

ストレス

自律神経失調症の原因の多くは精神的ストレスによるものといわれていますが、そのストレス自体ではなく、そのストレスを感じやすい性格(完璧主義の人や神経質な人などに多い)であったり、生まれつき体質的に過敏であることも大きく影響します。また思春期や更年期、身体が弱っているときも、ストレスにより自律神経のバランスを乱しやすくなります。

生活のリズムの乱れ

人体には体内時計が備わっています。この時計の基本的なリズムに合わない生活、たとえば夜更かしや夜間の勤務、不規則な生活リズムなどは、自律神経の正常な働きを妨げてしまいます。

ホルモンの影響

ホルモンの分泌と自律神経の働きは連動しています。特に女性には月経や妊娠、出産、また閉経などによるホルモン分泌の大きな変化があり、自律神経の働きにも大きな影響を及ぼします。何らかの原因によりホルモン分泌が異常の状態が続けば、自律神経の失調の可能性が高くなります。

西洋医学での治療

自律神経失調症の治療は、大別すると薬物療法、心理療法などがあげられます。

薬物療法

痛みには鎮痛薬、不眠には睡眠薬、食欲不振や不安、気分の落ち込みなどがある場合は抗うつ薬や抗不安薬など、症状に合わせた薬を服用します。症状をおさえる対症療法で原因を直接治すものではありませんが、まずは今感じているつらさを軽減することが肝心ですから、基本的な治療法といえます。

心理療法

主な原因となる精神的ストレスの治療として、心理療法は再発を防ぐ効果的な治療法です。心理療法にはカウンセリングや家族療法、自律訓練法、認知行動療法などが挙げられます。

自律神経失調症の症状には波があり、自己判断で治療を中止したりせず、定期的な受診が大切です。自律神経失調症の治療法には、いろいろな方法があるので自分に合った治療法を見つけることが大切です。

東洋医学の自律神経失調症

女性特有の自律神経失調症を東洋医学では総称して「血の道症」と呼んでいます。女性の一生は血にまつわることが多く、血の道症は東洋医学で女性だけに用いられる言葉です。血の道症は、更年期、月経、妊娠、出産、流産などに伴って、血液の循環が悪くなって起こります。女性の生理現象一般に伴って発症するもので、頭痛、めまい、精神不安などの諸症状、子宮関係の病気の俗称としても使われています。

原因

東洋医学において自律神経失調症は肝、心、脾、肺、腎の五臓の働きが関係していると考えます。五臓の機能が滞るとそれぞれ次のような様々な症状を引き起こします。

肝の場合
筋力低下・筋肉の痛み・ひきつれ、めまい、視力低下、月経異常、イライラ、怒りやすい
心の場合
言語・味覚障害、不眠、心悸、健忘
脾の場合
全身の倦怠感、四肢無力、消化吸収以上、津液の不足・停滞 
肺の場合
皮膚の乾燥、湿疹、咳・痰、鼻が詰まる、発声異常、短気、息切れ
腎の場合
耳鳴り・難聴、生殖機能低下、排尿異常、骨が脆くなる、歯の異常、発育低下、腰痛、健忘

よく使用される漢方薬

  • 柴胡加竜骨牡蠣湯
  • 桂枝加竜骨牡蠣湯
  • 加味逍遥散
  • 柴胡桂枝乾姜湯
  • 黄連解毒湯

自律神経失調症の鍼灸治療の方針

問診の際に体質や生活環境をうかがい、のぼせや発汗、動悸やめまい、倦怠感、不眠などそれぞれの具体的な症状にあわせて鍼灸治療を行います。 特に臓器に刺激を与えることのできる経穴のある膀胱経を重点的に治療をしていきます。

また、血の道症の原因もさまざまですが、血流を改善させたり、ホルモンバランスを整えるためにも肝、腎経を治療し気血の滞りを改善していきます。

自律神経失調症は症状が多岐にわたり、また症状の感じ方も個人差が大きいため一概には申し上げられませんが、鍼灸治療のペースは週に一度を目安にご無理のなく、また症状が改善されてきた場合は、間隔を少しずつ広げて継続的に鍼灸治療を受けられることをおすすめいたします。

自律神経失調症の養生法

規則正しい生活と十分な睡眠時間

遅くまで残業をしたり遊んだりして夜更かしをすると、生体リズムが乱れがちになってしまいます。睡眠を十分にとり、規則正しい生活習慣を身につけましょう。自律神経失調症を直して、また予防するためにも、できるだけ自然の生体リズムに合わせた規則正しい生活を送ることが大切です。

リラックス

好きな音楽を聴いたり、適度な運動をしたり、また旅行などで気分転換をしましょう。アロマオイル入りのぬるめの入浴や腹式呼吸も効果的です。なにより大切なことは、リラックスできる時間を持ち、楽しみ、心に癒しを与えてあげることです。腹式呼吸もリラックスの1つの方法です。心身の緊張が高まると、呼吸が浅くなり脈拍も早くなります、腹式呼吸で呼吸を調整し緊張をほぐしましょう。

バランスよい栄養の摂取

栄養のバランスに配慮した食生活を心がけましょう。自律神経失調症を予防するためには、食生活の改善も必要です。1日3回の食事をなるべく毎日同じ時間帯に摂るようにしましょう。

ビタミンB群
神経の働きを正常に保ちます。
ビタミンA・E
自律神経をコントロールし、症状を緩和させます。
ビタミンC
抗ストレスビタミンとも呼ばれます。
カルシウム
イライラを鎮め、不眠を解消します。

悩みは人に相談

ストレスを受けやすい性格としては、完璧主義、責任感が強い、心配性、神経質な人などがあげられますが、性格自体を根本から変えることは困難ですので、その人にあった上手なストレスの解消法を見つけ出すことが大切です。一人で悩まずに些細な悩みでも、まずは家族や友人に話して何でも相談してみましょう。

自律神経失調症でお悩みの方へ

身体的・精神的に不調を感じ病院に行っても、「異常なし」と診断され、また症状が多岐にわたりつらい思いをしている方はいませんか?

もしかしたら自律神経失調症かもしれません。自律神経失調症の症状はさまざまで個人差もあるので、本来は別の病名がつく疾患も自律神経失調症と診断されるケースも少なくはないようです。

自律神経失調症は、遺伝体質、性格、ストレスの感受性により症状の現れ方もさまざまであると言われ、治療は心身両面から柔軟に行うことが必要です。また、症状には波があり、自己判断で治療を中止したりせず、定期的な受診が大切です。

自律神経失調症の治療法には、いろいろな方法があるので自分に合った治療法を見つけましょう。また、なんでも自律神経失調症と考えてしまうと、重大な病気を見逃すことにもなりかねませんので気をつけましょう。

性格面も関係しますので、あれこれ頑張りすぎないようにすることも大切です。治療期間が長くなってしまうのはつらいかもしれませんが、一歩一歩治していきましょう。

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